2005年06月29日
師匠からの手紙(西日本新聞掲載)
師匠からの手紙(西日本新聞掲載)
片岡 永
会社員を辞し、新規に就農してから3年目。年賀状代わりに送る農園通信を昨年末もお世話になった方々に送った。文学の師匠と仰ぐ、古希を過ぎた同人誌の先輩から返事をいただいた。
師は「21世紀は原点回帰の世紀、人類は自然に対しあまりにも傲慢無礼であった。人間は紛れもなく自然の一部であることを思い知るべきだ」と現状を憂い、「同窓会で、昭和20年代中学生だった頃の弁当が話題になった。あのころの弁当は何故あんなに旨かったのだろう。久々の銀飯の真ん中に梅干しが一つ、目刺し三匹に沢庵が二切れ。飽食の世にあって、あれ以来あんなに旨い弁当を食べたことがない。人間は極みにきて初めて、何が本物で何が偽物であるのかが判るのかもしれない」と書かれてあった。
会社員時代より長時間働いても収入のついてこない現実。いまだ挫折せぬまでも、掌を見て溜め息の出る日々。しかし自分がやろうとしている営為の意味を再考し、方向は間違ってはいないのだと、勇気と希望を与えられた正月であった。

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